子育てではイライラしてしまうことも多いでしょうが、子供への悪影響が気になったり、後で自己嫌悪におちいってしまうこともあるでしょう。
私の母親も常にイライラしている人で、幼い頃の私は、母によく無視されたり、話しかけると嫌味を言われたりしたものです。
ここでは、そんな経験を元に、親のイライラについて、かつてそんな親を持つ子供だった立場から、子育てについての私の考えを紹介したいと思います。
子育ての悩みで時にイライラするのも当たり前 それでも子供が好きかどうかが問題
私の母親は、第一子として私を産んだのですが、私が子供の頃は毎日と言っていいほどイライラしていました。
子供の頃の私が話しかけても無視する、嫌味を言う、キッチンで乱暴に棚の扉を締めてドタンバタン大きな音を出す……。
母にはママ友のような愚痴を言い合ったり、悩み相談をするような相手もなく、私の父も身勝手で無理解な人だったので、精神的に追い詰められて余裕がなかったのだと思います。
私が5歳くらいまでの父は、仕事を終えて家に帰ってくると、夕飯の乗ったテーブルを「こんな飯が食えるか!」と怒鳴って、よくひっくり返しました。
きっと、仕事で嫌なことがあって母に八つ当たりをしていたのでしょう。
父は、横暴であることを男の強さ、父親・夫の威厳だと勘違いしているフシがある、精神的に非常に未熟な人でした。
そのせいで、私もちょくちょく夕飯を食いそびれたものです。
こんな両親ですから、夫婦で子育てを協力するとか、子育ての悩みや愚痴を聞いてもらうという環境ではなかったはずです。
ここで、離婚するくらいの意志の強さが母にあったらまた違っていたのでしょうが、それができるほどの強さがないから毎日イライラしていたんですね。
父がイラついて怒鳴りだしても、何も言わずに怨霊のように黙り込んでいる人でした。
そういう人だったからこそ、父のような人と結婚してしまったとも言えるかもしれません。
子育ての悩みでイライラするという問題に悩んでいるあなたは、そこまで重い状況にいるのではないのかもしれませんけど、かつてイライラしている親を持った子供だった者の立場から分かることもあります。
育児の問題で、どうしてもイライラしてしまうとき、子供は親にどうあってほしいのか、これから及ばずながら意見を提案させていただきますね。
子育てのイライラが子供に与える影響
常にイライラしている親を持ったということは、私に壊滅的な悪影響を及ぼしました。
自信の喪失、不安感、共感能力・思いやりの気持ちの欠如、やる気の喪失、生きることが楽しいという前向きな気持ちの喪失、コミュニケーション能力の喪失、被害者意識など。
三つ子の魂百までといいますけど、幼年期の子供にとって、親の愛情、ありのままで受け入れられているという実感は、健全な成長のために不可欠なものです。
そうした、親に愛されたいという欲求は、満たされれば自然に解消されていって、子供の精神的成長も次のステージである自立への欲求へとシフトしていきます。
ですので、その、親に愛されたいという欲求を満たすことができないまま、いつまでも引きずってしまうということが大問題なんです。
そうした欲求を引きずってしまうと、常に人からどう思われるか、どう扱われるかを過度に気に病む自罰的他者依存か、逆に、他人を支配し搾取することで「自分を受け入れさせよう、自分を満たさせよう」とする他罰的他者依存にとらわれます。
未熟で何もしない自分のままでも愛されたいという幼児的な欲求は、年齢を重ねれば自然に解消するものではないので非常に厄介です。
中高年になっても大人げない面倒な人が存在するのも、そのためです。
では、子育てのことで親はイライラしてはいけないのか、常に神様仏様ようにニコニコして育児をしていないといけないのかというと、そんなことはありません。
そもそも、そんなことは無理ですよね。
子供のほうだって、常に癒やしを与えてくれるだけの天使のような存在というわけではないでしょうから。
いつもイライラしている母親に私が求めたことは、母が私にした八つ当たりや、母がイライラしていることで幼い頃の私の方まで常にビクビクしていたことへの、悪かったという気持ちです。
親がイライラして子供に八つ当たりしたり、怒鳴ったりしてしまっても、後でそれを悪かったと思って謝ったり、自分はひどい親だと思う優しさが親の側にあったら、子供にはまだ救いがあります。
私の母親は、子供の頃の私に散々八つ当たりをしたり、嫌味を言ったり、無視したりしましたが、後になって私がどんなにそのことで母を責めても、「いつそんなこと言ったよ」としらばくれて言い返してきたり、開き直って「(子供に八つ当たりするのは)どこの家だってそうだ」と吐き捨てるように言ったりするだけでした。
イライラして八つ当たりしたりしても、後で謝ったり、悪かったと思ってくれれば、それは「好きな人の嫌いな部分」になります。
謝らずにとぼけたり逆ギレすれば、それは「嫌いな人の嫌いな部分」にしかなりません。
親を嫌い憎みつつ、それでも愛情を求めてしまうというのは、子供にとって不幸なことです。
そして、そうした依存している相手への憎しみというのは、根が深く厄介です。
親が嫌いなら、成長してからさっさと離れればいいではないかと知らない人は簡単に言うでしょうけど、親というのは子供にとってかけがえのない存在だからこそ、単なる嫌いな他人を憎むのとはわけが違います。
親がかけがえのない存在だからこそ、愛してくれないということが大問題になるのです。
そのために、心の中で親をいつまでも引きずってしまい、親離れができなくなってしまうのです。
親離れができないのは親が甘やかしているからだ、いつまでも親に甘えているからだと考える人が多いですが、実際には、幼い頃に親に甘えられなかったことが問題の根源にあります。
表面上は過保護に見える親子関係も、実際には親のほうが子供に依存して絡みついているだけの関係だったりもします。
そうした歪んだ親子関係は、健全な精神的成長を阻害し、非行、いじめ、引きこもり、ニート、無気力、うつ、燃え尽き症候群など、後々まで子供に影響します。
表向き社会に適応できても、神経をすり減らして疲労するか、手頃な相手を支配して疲労させる、問題のある大人になるかもしれません。
もし、子育てのことでイライラしてしまい、子供に八つ当たりしたり、怒鳴りつけたりしてしまっていて、そのことで自己嫌悪におちいっているなら、謝って、それでも嫌いじゃないということをお子さんに伝えてあげてください。
私も、母親がそうしてくれたら、長年不適応に苦しまずに済んだかもしれません。
子育てのイライラ解消法 まずはあなた自身が幸せに
お子さんに謝ってあげてくださいと言っても、何もかもあなたが悪いというわけではありません。
あなたさえ我慢すれば家族が丸く収まると言うつもりはありません。
子育てで最も重要なのは、親自身が幸せであることだと思います。
口ではどんなに立派なことを言っても、人の無意識というのは相手に伝わります。相手が子供であってもです。
イライラを抑え込んで子供の相手をしていては、あなた自身だけではなく、子供の方も不快感を抱えたまま親の相手をさせられて不幸です。
そうならないために、あなたなりの子育てイライラ解消法を見つけましょう。
好きな趣味などはあるでしょうか。
それをしていたら嫌なことを忘れてスッキリできる趣味、打ち込めることをできる時間を確保しましょう。
お子さんがまだ小さくでなかなか時間を取れないなら、パートナーと協力して、お互いにそうした時間を定期的に持てるといいですね。
家の中が散らかっていたり、やらないといけないことがたまっていることもイライラにつながります。
タスクが多いことも、イライラの原因になるんですね。
やらないといけないことがいろいろある時に子供がうるさいと、それだけでイライラしますよね。
そんな時は、できれば有給を取るのもいいでしょう。
子供の病気や行事などのときだけではなく、家の中の整理や、細かい手続きなどを片付けるのに有給を使ってもいいと思いますよ。
丸一日が難しいなら、半日でもいいです。
また、いい意味で家事の手を抜くのもストレスをため込まないために重要です。
毎日食事を用意するのも大変ですよね。
時には外食や宅配、お惣菜で簡単に夕飯を済ませてもいいじゃないですか。
イライラしながら作ったきちんとした夕飯を家族で食べるより、イライラしないで用意した手抜き料理を食べたほうが、家族みんなにとって幸せです。
ご飯はちゃんと炊く、味噌汁だけは手作りにする、買ってきたお惣菜はお皿に盛るなど、「ここだけは頑張る」というマイルールを決めて、それ以外の部分は手を抜いてみてください。
子育てにユーモアを取り込むというのもオススメです。
子供がなかなか寝ようとしないなら、「早く寝なさい!」と叱るだけではなく、「パパのパジャマで寝てみようか?」と言ってみれば、もしかすると子供は面白がって寝てくれるかもしれません。
また、あるご家庭の話ですが、「ママ、今度からは怒るときにライオンのマネをして『ガオー!』って言ってみたら?」とお子さんに言われたんだそうです。
言われたとおり、お母さんが怒る代わりに「ガオー!」と言っていたら、誰のガオーが一番怖いか、ガオー大会になって、しまいにはみんなそろって大笑いになったそうですよ。
子育ては、きちんとしないといけないとあまり固く考えていると、子供が思うように動いてくれなくてイライラが募ると思います。
自分のための時間をできるだけ持ち、いい意味で手を抜き、パートナーとも協力して乗り越えていただければと思います。
あとがき
私の母親は、買い物などの用事以外ではほとんど外出することもなく、一日中家でテレビを観ているだけの人でした。
趣味もなく、友人もなく、八つ当たりで怒鳴る夫に不満を持ちつつ離婚もせずに、いつも眉間にシワを寄せてピリピリしている人でした。
そのくせ外面だけはよく、他人にはニコニコして対応する、憎らしい人でした。
もし母が、自分の好きなことをして楽しんだり、離婚をして前向きに生きていく強さを持っていたら、私はどんなに貧しくても幸せだったのではないかと思います。
子育てのことで時にイライラして怒ったり、怒鳴ったりするのも、人間だったらしょうがないことです。
子供は、親に対して聖人であることなど求めてはいません。
求めているのは、自分への関心です。受け入れられているという安心感です。
ただ、親が子供の幸せを望んでくれればいいのです。
子供の教育や習い事などは、その次の問題です。
子供を含む他人の幸せを望むというのは、自分自身が幸せでないとできません。
同じ状況でも、心の持ちようで不幸にも幸せにもなります。
まずは、親であるあなたがイライラを解消して、心にゆとりを持ってお子さんと向き合えるようになってください。
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